有限Z 作業日記 1998年9月26日 レース出走
今日は98年シリーズ最終戦です。果たしてどういう走りができるでしょうか?
勿論、目指すは「優勝」!!
レース当日
台風も過ぎ去り、天気も期待できるか?と思ったのも束の間、週間天気予報では「曇→雨」の模様...
この中途半端な天気が私達のチームにとってはネックなのです。
以前苦労して突貫作業で作ったオバフェンに収まるタイヤは特注のホイールに組んでいます。このホイールは1セットしか無いために、当日の天候を予測してスリックかレーシングレインを履き替えておかなければならないのです。
前回は「雨→晴れ」という天気で、私達はレインタイヤを選択、レースが進むに連れて乾いて行く路面を見て雨乞いをしていました(笑)。何とかそれでも完走、優勝を手に入れられたのですが、今回も天気の判断が難しそうです。
相方の「わんこ氏」と思案した結果、スリックで賭ける事にしました。
出走前
予選出走を待つ「有限Z」です。
2台後に見える黄色いマシンがフロンテのクラブ「ビートマシン」のLC10Wです。
エンジン調整では3本チャンバーから2ストサウンドを奏でていました。速くて綺麗で、悔しいです!!(笑)
ウチのマシンも1からやり直して綺麗にしたいのですが、レースカー故に走る事を優先させてしまっています。
まぁ、徐々に熟成&美しくしていきたいです。
360密度上昇!?
筑波にこんなに360cc軽自動車が並ぶのはK&Kだけでしょう。マシンを見ていても千差万別、個性豊かで面白いですよ。
今回は誰でも一度は考えるものの実行はしないであろう、「バイクのエンジン搭載」車も出現!レギュレーションにより賞典外ですが面白かったです。
予選
いよいよ予選です。時間は15分。
空は相変わらず暗い雲が立ち篭めています。路面は湿った状態...
最初に私が出走しタイムを出してしまう作戦です。
予選はストック(ほぼノーマル車)とオープン(大改造クラス)の混走で台数も多いです。1周目はマシンを左右に振ってタイヤを暖めます。路面温度の低い状況でのスリックタイヤです、今回は特に念入りに暖めます。この瞬間ってF1のスタート前のような気分かもしれません(笑)。
そしてアクセル全開!!
久し振りのマシンにカラダを慣らしながら攻めます。台数も多く、なかなかクリアラップも取れず、路面状況も良く無いために思うように走れません。
その中で取りあえずタイムを出して、マシンに慣れてもらうために相方に交替です。
予選結果はベストが1分22秒415で第2位でした。自己ベストから2秒遅いタイムですが、状況を考えれば仕方ないでしょう。
1位は前述のフロンテクーペで1分17秒台というタイムです。やはりマシンのポテンシャルの差は大きいようです。
レース仲間:すわ屋MRライフ
間瀬6耐の頃からのレース仲間である「すわ屋ファクトリー」のマシンです。
一見オバフェンが付いただけのライフのように見えますが、実は何と!!ミッドシップ化されているのです。
ライフのエンジン&ミッションをそのままミッドに移設、フレームを製作したり、苦労は相当なものです。
今回は油温上昇によるエンジンブローで残念ながらリタイヤとなってしまいましたが、そのバイタリティーには完敗です。
レース仲間:R-moon Z
これは私の旧友が開いているショップ「R−moon」のマシンです。エンジンはマル秘加工によって水冷ホンダ最大排気量となっています。しかしながらそのエンジンのデータ収集中。
完璧に回るようになると脅威となりそうです。
今回はエンジン不調のようでした。
このマシンには私の街乗りZのラジエーターをレンタル中(笑)。
レース仲間:小川ライフ
これも同じく旧友の小川ライフ。
ストッククラス参戦のド・ノーマル マシンです。
タイヤもプア、エンジンは数日前にオーナー自らツインキャブヘッドに換装(因にこの友人4サイクルエンジン分解は初体験!)、ミッションも4速というものです。
しかし!決勝では3位入賞!!
因にこのマシンには私の街乗りZのキャブとスターターをレンタル中(笑)。
レース仲間:山口ライフ
これはR-moonオーナーの築島の友人、山口さんのライフ。
400ccでレギュレーションではストックに入るのですが、ダッシュボードが無いために敢え無くオープンに編入(笑)。
前回のレースではストックで入賞を果たしたものの、今回は不調のようでした。
決勝
いよいよ決勝です!
スターティンググリッドは
フロントロウ真ん中
です。そういえば前回もこの位置でした。
マシンの中でスタートの瞬間を待ちます。
このレースのレースクイーン?の「ハイネケン・ガール」?がパネルで残り時間を表示します。
なぜかそのハイネケンガールの別な2人が私のマシンの両脇に立ってます(笑)。
こっちはスタートに集中しようとしてるのに...(笑)思わず見入って...しまう事はありません、絶対にありません(あぁ、こんな事書くと怒られる〜(笑))。
精神集中してグリーンシグナルです!!
出足はRRという駆動方式、しかもパワーで圧倒的に勝るフロンテクーペには適いません。先行を許します。
しかし何とか
そのまま2位をキープ
してフロンテを射程距離に留めます。こういう荒れた状況でのレースです、何が有るかはわかりません。ワンミスで逆転もあり得るのです。
快走するフロンテを視界から逃さないように頑張ります。立ち上がり加速で一気に離され、裏ストレートから最終コーナーでワイドスリックの効果で差を縮めるという展開を毎周繰り返します。でもコーナーで詰めるというのは楽ではないです。
暫くしてフロンテがピットイン!!という事は
トップに浮上
です!!
トラブルか?ドライバーチェンジか?この隙に差をつけたいうところです。
その後の時間をトップで走りましたが、次第に雨足が激しくなり、スリックで走っている私達には辛い状況になってきました。トップは死守したものの、相方にドライバーチャンする頃には完全なレイン状態。
この時点でレース復帰していた
フロンテとの差は約40秒
...
残り二十数分、雨は降るばかり、フロンテは溝付きレーシングタイヤ...どう考えても私達に不利な状況です。
そして差は次第に無くなり、遂には逆転。やむを得ません。
しかしここで相方のわんこ氏の走りが一変、先行したフロンテに離されずにラップを重ねます。ウェット状況でのスリクタイヤ走行、こんな不利な状況でも頑張ってくれています。
もし、フロンテがハーフスピンでもすれば再度逆転もあり得る差をキープしています。
しかし勝利の女神フロンテに微笑みました。そのままの差でゴール。私達は
準優勝
となったのです。
残念ながら優勝は逃したものの、悪条件の中、ウェット路面にスリックタイヤでの走行。これは満足しなければならない結果でしょう。
激しい雨の中スリックで奮闘して頂いた相方に感謝すると共に、今回レース準備を手伝って頂いたmasaiさん、観戦して頂いた皆さんに
お礼を申し上げます
。
排気量は僅かなものの、気分はF1並みです(笑)。ぜひこの手軽なモータースポーツを皆さんも楽しんで頂きたいです。
ゴール!
ゴール後の私達です。
路面を見てもらえればどういうレースだったか想像して頂けると思います。
この条件の中、準優勝は上出来かな?
表彰式
そして表彰式です。
「綺麗なおねぇちゃん」からトロフィーも貰って、花の下が伸びている...事はありません!!(笑)
でもやはり嬉しい瞬間です(おねぇちゃんじゃ無いってば!!(笑))
あとがき
こんな感じで終えた今シーズンですが、優勝&準優勝というシリーズ結果で、もしシリーズチャンピオンというものがあれば、シリーズチャンピオンとなる結果でした。
ここまで来るのには、相方のわんこ氏やレース仲間の協力等がありました。
約30年前のたった360ccの軽自動車でレースをする、これは大変な事でもありますが、それ以上に楽しい事です。もちろんレース用部品なんて売っていません。自分で作ったり、工夫して流用したり、だからこそ個性豊かなマシンが集まるんですよね。ノーマルで出ても、思いきり改造しても楽しいですから皆さんも是非、「感染」、「観戦」、「参戦」してみて下さい。