KSR-110 メンテナンス?日記 2008年6月15日  「124ccボアアップキット」装着!!


空冷単気筒ならではの手軽な作業!
 6速クロスミッションを導入し足も取り敢えず手を入れ外装もミニンジャと、車体がほぼ完成の域になって来ました!

そこで念願のエンジンチューニングへと進もうと思います。
やはりエンジンの能力を発揮する受け皿を作りませんと、いくらパワフルなエンジンを作ったとしても面白くありませんので。
これは4輪でも実践してきた乗り物イジりの私の順番です。
足がエンジンを上回るというのはある意味面白みはありませんけどね(笑)

さて、このKSRのエンジンチューンを考えますと、124cc、138cc、143cc....と各メーカーから各種排気量のバリエーションが出ています。
最大排気量では200cc近く、最大出力も20馬力近いものまであります!!
勿論、125ccを超える物は原付2種登録は事実上出来なくなりレース専用となる訳ですが、そのワンメイクレースのレギュレーションを見てみると、改造範囲の広いクラスでも125cc未満と以上でクラスも分かれます。
125ccを超えるクラスは各ショップのデモマシンが大挙して参加するハイレベルなクラスです。

そんな中に飛び込んで行くのもそれはそれで面白そうなんですが(笑)、やはり多額の資金とノウハウを注入したマシンと一緒に走る事は今現在は現実的ではありません。
そんな事も考慮に入れて124ccを選択しました。

街乗りだけを考えれば敢えて125cc以上にして軽二輪登録というのも面白いと思ったのですが、まずは?(笑)原付2種範囲の124ccを上限と考え、ボアアップする事にしたのです。

しかしボアアップと言っても4輪(やマルチシリンダーのバイク)のように専用もしくは流用ピストンを用意して内燃機屋さんにボーリングを依頼、という訳じゃないんですよね〜
オーバーサイズのピストンとボーリング済みのシリンダーのセットを買ってきて交換すればOKというお手軽さは小排気量空冷単気筒マシンの大きな魅力ですね!

ノーマルヘッドを使う物からヘッドまで交換するもの、果てはツインカム化してしまうもの(この時はまだKSR用としては市販されていませんでしたが)まで多種多様で選択にも悩む程。
レース使用を前提でしたので当然124ccでの最高性能を目指す事から、それなりのキットを選択という事でタケガワ製のスーパーヘッド+Rというキットを購入しました。

ローラーロッカーアーム、アルミメッキシリンダー、チタンリテーナーとスペックを見るとワクワクします(笑)
本当はヘッドは純正ベースで自作も考えたのですが、敢えて市販品ボルトオンでどこまで変わるのかも興味あったので安易ではありますが全て市販品で組むことにしました。

 

作業開始!

 ボアアップによって大幅パワーアップが見込まれるのでクラッチも強化します。

そのため左右クランクケースカバーも外してしまいます。
エンジン降ろしてからでも構わないのですが車体に固定されている時の方が作業は楽ですので。



ジェネレーター側

 こちらはカムチェーンを張り直す関係で分解&フライホイールの取り外しが必要となります。

同じく車載状態の時に外してしまいました。

 

あっという間に♪

 その後シリンダーヘッドとシリンダーも予め外してエンジンを取り降ろしました。

エンジンは3か所で吊られているだけですし、ダウンチューブも無いので簡単に降りますね!

エンジンを降ろした姿も忍者っぽいなぁと感心(笑)

 

フライホイール取り外し

 KSRはこのようにチェーンガイドとテンショナーはスライド式なのがホンダ系とは異なりますね。

 

作業の友(笑)

 今日はハイオク燃料でキメてみました(笑)

フレームから降りたエンジン(腰下)です。

本来ボアアップキットはここにシリンダーとシリンダーヘッドを組み込めば良いので車体から降ろす必要性は無いのですが、今回はミッションの手直しも行うのでクランクケースを割る事に。

簡単な構造なので苦にはなりませんね。


もう見慣れた光景...

 結構頻繁に開けてるような気が...(汗)

クランクケースを分割したミッション側です。

今回ここに見えている「シフトドラム」を6速クロスキット付属のアルミ製からオプションのスチール製に交換するのです。

現状のアルミ製で不具合は無いのですが耐久性を考えスチールへ交換する事にしました。

同時にシフトフォークピンも強化品に交換します。



アルミの方が
 表面処理も美しく高級感漂っているのですが、耐久性を重視します。

現にそのアルミ製シフトドラム(右)は走行距離(時間)も少ないながら溝の「山」部分は表面処理も剥がれてアルミ地が光っていました。

このまま使用を続けて果してどうなのか?ちょっと疑問に感じたところです。

またシフトフィールも期待を下回っていたので、その改善という目的もありました(後日他に原因があった事が判明)


装着!

 このような感じでドラムは装着されます。

その左のフォークですが、ここにフォークピンが入り、そこをドラムの溝によって画像の上下方向に動く事によって変速を行います。

現在の6速キットは上側の薄いフォークが改良され、ブッシュが追加された事によりよりスムーズに動くようになっているようです。

補修パーツで出れば交換したいところなのですが、今現在カタログには掲載されていません...



参考までに
 このシムはよく組み忘れるので注意が必要です...

忘れると再度ケースを分解するハメに(笑)



凄い形だ...
 これがスーパーヘッド+Rに使用されるピストンです。

トップは盛り上がり圧縮比は12:1となかなかの数値です!

ピン横は軽量化のためか大きく肉抜きされており(純正も同様な肉抜きあり)スカート部には初期馴染み向上のためのコーティングが施されています。

4輪市販車の世界ではあまりお目にかかれない形状のピストンですね〜


カムは
 右が純正カム、左がキット付属のハイカム(S20カム)です。

カムプロファイルは明らかに異なり作用角が大きいであろう事がわかります。

ベアリングと比較しても分かるようにリフト量も大きくなります。

カム山はローラーロッカー用のためか純正よりかなり幅が狭いです。

この時はオートデコンプカムは販売されていませんでしたのでデコンプ無しです。



搭載!
 カム組み込みやその他の作業は特に難しい事も無く、一般的作業なんで省略。

本当は走行会に間に合わせるために急いで組んだため画像撮影の時間が無かったんです...

こんな感じで付きましたが、純正の真っ黒なエンジンからちょっとエンジンが自己主張しています。

黒く塗りたかったんですが...

で、問題はキャブなんですが試しにノーマルを装着してみたら全くお話になりませんでした(爆)→想定内です(笑)


暫定仕様は
 ミクニTM26のヨシムラMJNを奢ってみました!(APE100用流用)

ファンネルは「デュアルスタック」で、4輪キャブ車触ってる方なら見覚えあると思います。

そう、ソレックスやウェーバーのスモール&ラージベンチュリーのようなファンネルなんです。

中低速は中央の長いファンネルから、そして高速になるとその外側の大きく短いファンネルから吸気するという事なんですが、どれ程効果があるのかは謎です(笑)

しかし非常に扱いやすいキャブである事には間違い無く、キャブボディも小さいので装着にも困りません。

最終的にはモアパワーを求めてFCR-DD28を装着する予定です。




試走、そしてサーキット走行

 最後がいつも「試走、そしてサーキット走行」と同じなんですが手抜きでタイトル変えてない訳ではありません(笑)。
遅い原付2種とは言え、思いきり全開で確かめるにはやはりサーキットが安全で確実ですから!!

慣らしを兼ねた一般道の試走では回転数を5〜6,000rpmに抑えて走り回りましたが、この回転域でもかなりのパワーアップが感じられ、交通の流れをリードするのも簡単になりました。
実用的にもこのくらいのパワーがあった方が良いように思います。
今までは減速で危険回避しか選択肢がありませんでしたが、今度は加速での危険回避も可能なくらい。

非常にストレス無く走る事が出来るようになりました。
慣らしも終わったところでオイル交換して異物が出てない事を確認、全開試験はいつものワインディングへリッターバイクと一緒に行ったのですが、当然上り坂はお話になりませんが、平坦〜下りでは離れずに走れくらいです!
勿論超高速ワインディングは無理なお話ですけど(笑)

7,000rpmを超えると「カムに乗る」加速が始まり、自主設定リミットの12,000rpmまで一気に回ります!!
これは楽しいです!!
絶対スピードこそ低いですが、その走行感覚はリッターバイクにも劣らない楽しさです♪

良い感触を得たところで、ジェットセッティングを詰め、いよいよサーキットです!

それまでのノーマルエンジン+6速クロスではコーナーを抜けてアクセルワイドオープンするも一向に加速しないくらいに遅かったのです(実質6馬力程度)。
いくらコーナーリングスピードを稼いでも直線が全く走らなければ当然抜かれます(笑)。
特に4ストロークという特性上、ジワジワとスピードが上がるので、ミニサーキットのような直線部分の短いコースでは全くスピードが乗らぬまま次のコーナーが来てしまいます。

ところがボアアップ後はコーナーを抜けアクセルを開ければ「加速」するのです!!
当たり前の事(笑)なんですが、これによってコーナー入口でブレーキング〜脱出でアクセオンという流れが出来るように。
ノーマル時はアクセル気持ち戻すだけでノーブレーキのコーナー進入でしたので...
勿論ボアアップ後もノーブレーキでコーナー入れるくらい速くならねばと思うのですが、まぁ徐々にという事で...

しかしパワーアップの反面、当然ですがネガな部分も出て来ます。
第一に油温の上昇で、想定していましたが連続高負荷走行では油温が100℃を超えてもなお上昇しようとします。
オイルクーラーは最初から装着予定だったのですが、パーツの関係で今回は間に合いませんでした。
次回走行会までにはキッチリ装着して安心して全開出来るようにします。

第二は一般道でのお話ですが、パワーアップしてペースもアップ!、そうなると足のキャパシティの低さを露呈するようになりました。
フロントは純正のままですが、リヤは2cmロングのアルミスイングアーム+キタコ製の車高調整式ガスショックによりノーマルに比べれば明らかに性能は向上しているのですが、それ以上に速度レンジが上がってしまった感じです。
少し路面の荒れた峠ではギャップを予め確認して腰を浮かして衝撃を逃がさないと何処に飛んで行くか分かりません...

最も、KSRという元々の車両の最高速度すら軽く上回るアベレージペースで峠を走ろうとするからであり、設計速度を大きく上回ったため仕方の無い事なのでしょう。
これ以上はフロントサスをRS125などのレーサーの物に、リヤサスをオーリンズなどのハイエンドモデルに交換するくらいしか対処の方法は無さそうです。

これは今後の課題となりそうです。

(続く)

 

 

 

 

※チューニング、修理等についての内容、理論等についてはこの記載事項が全て正しいというものではありません。色々な情報、資料、経験を元に私が個人的に判断したもので、私のクルマに有益なチューニングであっても全てのクルマにおいて通 用するとは限りませんのでご注意下さい。また、当ホームページ記事を参考にした事によって生じた事故、損害、死傷等は掲載者であるETgarageは補償いたしかねますので個人の責任、判断においての作業をお願い申し上げます。
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