KSR-110 メンテナンス?日記 2008年3月29日  6速クロスミッション装着!!


多い方が偉い?(笑)
 お手軽なバイクのKSRも次第に「走り」の性能が向上して来ました!
そこで気になるのが遠心クラッチ+ボトムニュートラルの4速ミッションです。

やはりスポーティーに走るにはノーマルの4速はマニュアルクラッチ化したとは言え、気持良くありません!
そこでクロスミッション導入を考える訳ですが、現在KSR用クロスはタケガワの4速か6速という選択肢になります。
価格的には大きな差があり、リーズナブルな4速クロスは魅力的です。

しかし140ccオーバーなどの仕様で豊富なトルクを活かせるのであれば4速でも良いと思うのですが、将来的に124cc化という構想もあって比較的小排気量となるため6速で少ないパワーを活かす方が良いかも?
と考えました。
そんな訳でちょっと高価ではありましたが6速クロス導入を決断!

同クロスミッションのモンキー用などは「強度が不足してすぐ壊れる」とかいう噂も耳にしていたので心配ではあったのですが、やはり自分で確かめないと噂だけじゃ分かりませんしね!!

 

作業開始!

 ミッション交換にはエンジンを降ろして腰下を割らなければなりません。

こういう時、アンダーチューブの無い事が有り難いです!!

エンジンはボルト3本でブラ下がってるだけですし、その他キャブ、マフラー、シフトリンク、チェーンを外すだけなので本当にお手軽♪

エンジンも軽いのでプラモデル感覚です!



ヘッド分解

 今回は予めヘッドを分解してから腰下を降ろす事にしましたが、エンジンスタンドや作業台が確保出来るのなら丸ごと降ろす方が楽かもしれません。

まずはヘッドにオイル供給するためのライン(パイプ)を外します。

上下に銅ガスケットが合計4枚あるので新品を用意しておきましょう!

 

エンジン分解組立ての基本ですが

 KSRに限らずエンジンの分解や組立て時には「基準位置」にする事が基本です。

KSRノーマルの場合、まずヘッドのカムスプロケットの合いマーク
「T」
とヘッド進行方向頂点にある突起とを合わせます。
これが圧縮上死点なのでバルブは吸気排気共に閉じた状態となります。
同時に左画像のオルタネーターフライホイールの「T」マークとクランクケースの合いマーク(▽(三角))とが一致しているはずです。

当然ですがクランク2回転でカム1回転ですのでこのフライホイールだけで合わせるとカムは180度反対を向いている事もあるので注意が必要です。

 

ヘッド側

 基準位置にした後はヘッド側はまず「カムチェーンテンショナー」のテンションを取り除きます。

シリンダー上面のヘッド近くにあるテンショナーの中央のキャップを外すと中にスリットが見えるのでマイナスドライバーなどで右方向に回します。

これでテンショナーは引き込まれてカムチェーンがブラブラな状態になります。

その後カムスプロケットを外しますが、ここはネジロック剤が塗布されているのでかなり固いですから極力長いヘキサゴンレンチを使用した方が良いと思います。

短いヘキサゴンレンチでは厳しいと思います。

私は左画像のようにソケットハンドル+ヘキサゴンのコマを使用しました。

 

ヘッド分割

 ヘッドの取り外しは画像のように4か所のナットと2本の長いボルトを外します。

この長いボルトはつい見落としがちなので注意が必要です。


離脱

 プラハンで軽く衝撃を与えながら前方に引くとヘッドとシリンダーは外れます。

ピストンがシリンダーから抜けて来ますのでウエス等で傷が付かないように保護しておいた方が良いです。




フライホイール取り外し

 腰下を割るにはエンジン右側はクラッチ関係、左側はこのオルタネーターフライホイールを取り外さなければなりません。

クラッチ側は「マニュアルクラッチ化」のページでもあるようなホールディングツールがあれば他に特殊な工具は必要ありませんが、このフライホイールには専用のプーラーが必要となります。

カワサキ純正工具は品番57001-1471と57001-1216が必要なのですが、後者が非常に高価なんです...

止む無く前者のみ購入したのですが、その後の調査でホンダ系の物が使える事が判明、こちらの社外ツールの方が格段に安いのでお勧めです。

参考:タケガワ製
ドリーム50、ジョルカブ、マグナ等用ロータープーラー
品番00-01-04
3,150円



分割
 いきなり腰下を割った画像になってしまいますが、
これはミッション側です。

ケース分割の際にはクランクに特殊工具
カワサキ品番57001-1174
を差し込んでプラハンで軽く衝撃を与えれば分割出来ました。

本来はクランク分割ツールが好ましいので専用工具でなくとも汎用品がネットオークションなどで手に入ります。


ノーマルミッション取り外し

 ケースからミッションを取り外します。

6速クロスの場合、ノーマルミッションからはメインシャフト(画像上側の右端に入っている)のスペーサーとシフォーク1個だけそのまま使用します。


重要事項

 基本的にボルトオンなパーツなのですが、一つだけ大掛かりな加工が必要です。
それがこのケース加工です。

6速になりギヤ枚数が増えた事からそのままではケースと干渉するようです。

これはタケガワに送ると加工してくれます。

私は加工済みの中古品を入手しました。



シフトドラム

 これはタケガワ6速キットに付属のシフトドラムです。
アルミ製で非常に軽量になっているのですが、耐久性の面でちょっと不安が...

スチール製も販売されているので今後そちらへの変更も考えています。

後日スチール製と交換実施済み




シフトドラムカム

 これはそのシフトドラムを回すためのカムですが、6速のために当然6+1か所の窪みがあります。

画像には付いていませんがここにピンが5本刺さります。



ピン
 そのピンには向きがあるので注意が必要です。
テーパー部分を下に圧入します。

また結構深く入り込むのでハンマーで注意しながら確実に叩き込みましょう。



ポジションレバースプリング

 上のシフトドラムカムの窪みにはローラーが当たり、各シフトポジションに止まる訳ですが、そのローラーにテンションを与えているのがこのスプリングです。

下がノーマル、上が6速キットの物で、明らかにスプリング力が強くなっているのが分かると思います。


スプリング装着状況
ローラーが半分以上隠れてしまっていますが、中央部分に確認出来ます。






ミッションギヤ
 いよいよギヤです!

と言ってもキットには組まれた状態で入っているので何もする事はありません(笑)。

注意するのがアウトプットギヤ(上側のギヤ一式)の2速(画像一番手前のギヤ)とケース間に薄いシムが入る事です。

脱落防止のために取説にはグリス塗布との記述があります(下向きに組み込むので)。

実は何度かケースを割る中で一度入れ忘れて...
ドっと疲れますので(笑)




ケースに組み込み
 右ケースにこの様に組み込んで行きます。

シフトドラムに位置決めピンが入っていませんが、これは純正ドラムより移殖します。



位置決めピン
 これがその位置決めピンです。

ピンの奥には押しバネが入っているので忘れずに一緒に取り外しましょう。

磁石や時計ドライバーで抜き出します。




フォーク組み込み
 シフトフォークを組み込みます。

ちょっとパズル的ですが、予めフォークのみギヤのスリットに入れておいてその後シャフトを差し込むと容易だと思います。

ギヤ歯やシャフト、ドラムの溝、その他各摺動部にはオイル塗布するのは当然です。

後日タケガワ製強化フォークシャフトに交換済み





キックスターターアッシー
 今度はキックスターターギヤをキット付属のものと交換します。

KSRはキックで2速ギヤを回すという構造のため、クロス化により2速の歯の大きさが変更されたため、それに伴いスターターギアも変更されるという訳です。

これは純正スターターギアアッシーを分解してギヤ歯を入れ替えるだけ。





スターターギアの違い
 これだけ大きさが変わります。

このため注意しなければならない事があります。

純正はケース組み立て後、外からこのスターターアッシーを組み込みますが、この大きくなったスターターギアのため外からは入らない、つまりケース組み立て時に予め入れておかないとならないという事です。



注意点
 ギヤ歯を組み込みラチェットを組み込みますが、この時シャフトの合いマークをラチェットの合いマークを合わせる事も忘れてはなりません。

はい、一度忘れてケース再度割るはめになりました...(笑)



シフトアーム
 これはシフトアームでキット付属の物と交換、その際にスプリングを移植します。

後日スプリング周辺に対策加工実施





ついでに!?
 さて、エンジンをバラしたついでに何か少しでもチューニングしたいところなんです。

直接のパワーアップにはなりませんが、フライホイールの軽量化を実施しました!

と言ってもどこまで削れるかノウハウが皆無なため悩むところです...

後日予備エンジンを入手したのでいつか極限まで軽量化してみようと思いますが、街乗りも考えるとその塩梅が難しいところです。



ダイエットの結果は?
 現物を見ながら安全であろう肉厚を確保しながら削って行くとこんな感じでした。

1037gから968gですから約70g、僅か約7%程の軽量化ではありますが、外周部の70gは数値以上に効果あるのではと期待!




試走、そしてサーキット走行

 数日後に控えたサーキット走行会に向けて少しでも慣らしを行っておきたいところです。
しかし時間も無いので近所の街中を少し走るに留まりましたが、発信の1速がかなりハイギヤード(2速に近い)で気を抜くとエンストしそうになります。
そして2速、3速と上げて行くと回転落ちも少なく車速がグイグイ上がっていく感じです!!

しかし各ギヤ変速の確実性が今一つです。
当たりが出れば改善されるかもしれないので、とりあえず様子を見る事にしました。

そしていよいよサーキット走行となりました!!
純正ミッションの時は各ギヤが離れているためミニサーキットではシフトチェンジが出来ずに何とももどかしい走りでしたが、クロス化すれば小気味よいシフトで楽しく走れるはず、と思ったのですが...

いつものミニサーキットではシフトチェンジは1回が精々、しかもロングな最終減速比(2.06)な事もあって2速と1速の使用となるためギヤ抜けも結構な頻度で発生するのです。
このギヤ抜けも2速から1速に落とした時に発生し、シフトペダルが戻ってこないのです...
誤魔化しながら何とか走行するも何時ギヤ抜けするか分からない不安を持ちながらの走行は消化不良でした...

その後再度ミッション関係をチェックした結果、不具合箇所も発見、簡単に対処して改善されました。
それらをここでアップするのは簡単なんですが、ミッション組み込みを商売にしているショップさんも多数いらっしゃる事ですので、敢えてここでは公開しません。
勿論自分でここまで作業される方には直接ご連絡をくださればお伝えします。

※ロングな減速比は現在スプロケ変更でショート化しています。
 ミニサーキットにマッチする減速比を探っているところです。

(続く)

 

 

 

 

※チューニング、修理等についての内容、理論等についてはこの記載事項が全て正しいというものではありません。色々な情報、資料、経験を元に私が個人的に判断したもので、私のクルマに有益なチューニングであっても全てのクルマにおいて通 用するとは限りませんのでご注意下さい。また、当ホームページ記事を参考にした事によって生じた事故、損害、死傷等は掲載者であるETgarageは補償いたしかねますので個人の責任、判断においての作業をお願い申し上げます。
 皆様のノウハウや参考意見などございましたらお知らせ頂ければ幸いです。